今回の仕事は築47年目の住宅の大改修でした。
息子さん世帯と親世帯の二世帯住宅(孫、子、親、祖母の四世代が
同居)への改修工事です。既存の家の耐震性を調査するとこれがと
ても脆弱。古い家なので断熱性能も低い、ということで今回の改修
のポイントとなったのが耐震性の確保と断熱性のアップです。建物
全体の3/5程度の内部の床壁天井をはがして改修することにしまし
た。今回の工事は耐震性向上がメインとなりますので従来の間取り
はあまり変えることはできませんが、現在の生活スタイルに合わせ
た提案も制約の多い中で行いました。

もう一つ大切にしたことはこの家の「記憶」を残した家にすること
です。祖父の代の記憶を残したいというご希望もあり既存の家の玄
関や仏間などは手を加えることをせずにそのままにしています。
例えば古いスイッチプレートなども新しくせずあえてそのままにし
て古いものと新しいものが混在しています。
今回の大改修、外観はほぼ元のままですが、しかし内部は大変身し
ました。これは外観を残して内部を現代的に改修するという歴史の
ある古い都市の家々の住み方のようでもあり、新築ではできない年
月を受け継ぐという「記憶の重層性」を持った家づでくりが実現で
きたのではないかと思います。