富山市の住宅専用地に建つ切妻屋根をもつ総二階の家が完成しました。

 建主さんからはこの住宅地の景観に馴染むように、穏やかで落ち着いた雰囲気のある家を作ってくださいというものでした。敷地は住宅専用地となっており、建ぺい率40%や北側隣家への採光を確保するために北面に高さ制限もあるというなかなか厳しい制限のある場所。74坪のその敷地にLDKとつながる12畳の和室と12畳のシアタールームを持つ住宅をいうのが今回の設計与件でしたが、建ぺい率の制約もありご要望の諸室を敷地の中にプロットしてみるとコレがとてもキツイのです。建ぺい率40%の制限や北側斜線の制限も効いてなかなか上手いプランがみつかりません。何度もスケッチを重ねる中で「プランの合理化」こそが今回の主題なのだということに思いが到りました。

 そこでプランの無駄をなくしつつ動線の集約化を図るというスケッチの繰り返しが続きましたが、プランの合理化だけで家ができるというのもつまらないものです。今回の家は合理的で無駄がないプランを生み出すということが設計の主題ではありましたが、しかしそれを隠してしまうほどの伸びやかさや空間的な変化が気持ちよく感じられるようメリハリ感をつけた作為をそこかしこに散らして「合理的だけど気持ちいい」と感じられるような工夫をほどこしました。

 ある意味で総二階建ての模範解答のようなプランとなったこの家ですが、工事中から風がよく通ってとても気持ちよく、また東西を壁で遮光して、深い軒のある南北の大窓で採光するというこの家の窓計画は熱環境の面だけでなく実感としても穏やかで落ち着いた雰囲気の家になったようです。