外観

25年ほど前に設計をさせていただいた家を訪れたときのこと。 多少古びた外観や成長した樹木が年月の経過を物語っていました。メンテナンスも良く行き届いているので、それが醸し出す雰囲気が何とも心地良くクライアントに大切にされて家族の歴史を伴に歩んできたという自負が表出しているような存在感が建物には漂っていました。「ここに居ると落ち着くんです」と設計者冥利に尽きる嬉しい言葉をいただいて涙が出そうでした。

さて、新築の家が経年変化していく中で家の魅力を保ちながら古びていく家はいったいどの位あるんでしょうか。新築の真新しさではなく古びることが家の価値になる、そんな家をいつも作りたいと思っています。
前置きが長くなりましたが今回の家は.そんな思いで設計しました。 そのために大切なことは、敷地の環境条件をよく読み込んでアイデアを練り、この敷地ならではというプランニングを生み出すことです。敷地の特徴を上手く捕まえてこそ長い年月を経てもその魅力を保つことができると考えています。今回の家では中庭を取り囲むファミリー空間が最も特徴的な日常空間となっています。生活の中での所作が空間を成す壁や窓や家具と響き合って意識化に沈んでいる快適感を満たしてくれる、「この場に居ることがそれだけで気持ちがいい」という空間づくりの試行となりました。

 DATA
 竣工:2013.3
 構造:木造2階建て
 施工:近藤建設(株)
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